最近国が目指している「スマートシティ」なるもの。今日本のみならず世界的にも注目されているもので、既に実用段階へと進みつつあるものです。今回はスマートシティの概要や取り組みについて解説します。
スマートシティとは
スマートシティとは、IoT等の先端技術による基礎・生活インフラの効率的な管理、それに伴う市民生活やサービスの充実や利便性向上を目指す都市のことです。行政や企業が収集したデータをAIで分析し、都市機能の最適化を行うものとなっています。
スマートシティの目的
スマートシティ化が推進される背景には、将来起こる事が懸念される人口問題やエネルギー問題があります。世界人口は2050年に97億人を突破し、そのうち7割は都市部に集中すると言われています。これによる行政の煩雑化やエネルギー資源の逼迫に対応し、環境保全と都市機能の維持を両立させうる構想としてスマートシティは注目されているのです。
また、IoTをはじめとする先端技術の発展や、インターネットの進化によるライフスタイルの変化、コロナ禍での外出自粛もスマートシティの推進を後押ししています。
日本では、少子化による労働人口の減少や地域格差の拡大、災害リスクや自治体の負担増加など多くの問題を抱えており、それらを一度に解消する手段としてもスマートシティ化を目指しているのです。
スマートシティの利点
スマートシティ化によって得られるメリットは多岐に渡ります。
渋滞の緩和:交通量や事故の発生をリアルタイムで分析し、AIが信号を制御して交通を効率 化し渋滞を防ぐ。緊急車両の通行のサポートにも期待されている。
防犯体制の強化:AIと防犯カメラによる防犯や犯罪抑止。事前に不審な行為や騒音を検知し 対処する事で犯罪行為を減らす。
高齢者の保護:ドローンでの訪問やインターネットを駆使した見守り、センサーを家電に組 み込んで異常の検知や、収集したデータから認知症の前兆を予測する。
エネルギーの安定供給:スマートグリッドによる無駄のない電力供給、再生可能エネルギー の活用やエネルギー消費の効率化で二酸化炭素の排出を削減。
災害対策の円滑化:効率的な避難計画の構築や河川水位の検知、避難施設間での連携の効率 化
コロナ対策:リモートワークなど他者との接触を避けつつ生活する仕組みを作ったり、セン サーを使った検査等で感染症対策になる。
スマートシティの課題
一方で、スマートシティにも無視できない課題が多くあります。
プライバシー保護:防犯カメラの設置やネット見守りなどで個人のプライバシーが侵害され る恐れ
導入コスト:都市の仕組みを根元から変化させる必要があり、莫大なコストが必要になる。 費用に見合う効果が得られるかも不透明。
一部企業の利益独占:データの一極集中で特定の企業が利益を独占し、企業競争の妨げにな る可能性。また、秘密裏に収集データを営利目的に利用したり、管理 体制の形骸化も招く危険性がある。
サイバー攻撃による被害:インターネット上の脆弱性を突かれてサイバー攻撃を受ける可能 性。特に重要なインフラが攻撃を受けて停止した場合、致命的な ダメージになり得る。
まとめ
スマートシティは日本国内でも各地で本格的な導入に向けた動きがあり、既に静岡県裾野市や北海道札幌市などでプロジェクトの発表や新たな取り組みが行われています。
SF映画の1シーンのような街の姿を見られる日もすぐそこに来ているのかもしれませんね。
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